受け付け君
ダンボールゲームセンターに来店すると、まず始めに出迎えるのがこの『受け付け君』と言う名の手動券売機です。
「コイン」とか「札」とか書いてあるところにお金を入れると受け付け君の中の箱にお金が入り、それをスタッフが確認してチケットやお釣りを受け付け君の中から出します。大人は割と察して楽しんでくれるのですが、子ども達は結構な頻度でスタッフ側に回ってきて受け付け君の裏側を覗き込み、お金のやりとりを凝視します。少し恥ずかしい瞬間です。
大人のお客さんがチケットを買っていて、スタッフ側も大人の場合は恥ずかしさは増します。初対面の大人同士が受け付け君を挟んで指先で硬貨を受け渡しているその瞬間にふと客観的に「いい大人が何やってんだ?」と冷静になるからです。
でもこれがないと始まらないので、ご来店の際にはどうぞ受け付け君をお楽しみください。
エアーホッケー(エアー無し)
ダンボールゲームセンターが始まるきっかけとなった起源となるゲームです。ケイタが小学3年の夏のある日、突発的に夢中になって作ったこのゲームが始まりで全てが始まったものですから、このゲームには大変思い入れがあります。
かんたんに、作る時のコツを、子ども達が遊ぶ時の特性を交えてお話します。
ダンボールで箱を作って蓋をした部分が競技場となります。そしてスマッシャー(玉を打つやつ)が落ちないように壁を作ります。この壁ですが、壁自体はほんの10センチほどの高さがあればいいのですが、子ども達はもれなくこの壁部分に手を乗せ体重をかけます。なので、10センチだけ切って横に貼り付けるのではなく、床まで届く長い壁を貼り付けることが長持ちさせるコツです。
あとは、その壁の両端にゴールとなる穴をあけ、飛び出しても受け止めてくれる箱をくっつけましょう。この箱の部分も白熱してくると、子ども達は自分のゴールの穴を塞ぎたいと、(無意識か意識的か)体をぐいぐいと穴に押し付けてきます。箱はすぐにぺっちゃんこに潰れます。どれだけゴールしても、はじかれて決着がつきません。ある程度強度のあるものをくっつけた方がいいでしょう。
ドライブゲーム
ケイタ小学3年生の秋に作ったゲームです。
これは本に載っていたのを参考に作りました。大人の(特に男性)は、このゲームを見て「懐かしいー!」とおっしゃる方が多いので、よく知られた作り方のようです。
サランラップの芯を回すと道が進んでいって、道に落ちないようにハンドルを操作します。
ハンドルの先にミニカーがついているのですが、このミニカーは最初にプレイするお客さんに選んでもらいます。その選んだ車によって走る速さが違うのです。とはいえ、速さはサランラップの芯を回す人のさじ加減一つにかかっているのですが…。それでも、子ども達は真剣に選んでくれます。悩みすぎてしばらく考えこむ子もいます。
最後は道が何本かに別れていて、ゴールできるのはそのうち一本の道だけなのですが、ほとんどの子はなぜか一番左の道に行きます。もしかしたら左に行くように誘導するような道順に図らずもなってしまっているのかもしれません。
そして、ゴールできなかったら、少し戻ってあげてゴールさせてあげるようにします。
魚釣りゲーム
「魚釣りゲームを作りたい。しかもぐるぐる回るやつ。」
母は言いました。
「横から手で回せばいいじゃん。」
でもそれではダメなんだそうです。「そんなかっこ悪いことはできん。」と。
「こんなの作りたい。」
と時計の中みたいにぜんまいが何個も重なりあってる図を描くのです。ここまでを話すと、男性の多くは「そうなんだよ。」というように深く頷きます。女性の多くは「は?」と言うような顔をします。
さすがにそれは難しいし、例えできたところで毎日百人以上もの子ども達が遊ぶのに耐えうるほどの強度をダンボールでは作れない。そしてケイタと母はホームセンターや100円ショップに足繁く出向き試行錯誤を重ね、たどり着いたのがこのバケツと小さい丸(ガムテープの芯)をゴムベルトで8の字に設置する方法でした。たまにゴムが緩んで詰まってひっかかったりしますが、ダンボールゲームだとこんなものだろうと多目に見てもらっています。
シューティングゲーム
ダンボールゲームセンターで人気一位はおそらくこれでしょう。単純に的をゴム鉄砲で打つのですが、的にはオバケに交ざってピザとカブトムシがあります。ピザが一番得点高いのです。
そしてスペシャルボーナスとして「動くバケちゃん」と命名された、壁の右から左へ張った糸の上をモーターで動くオバケを撃てるようになっています。これを打って当たった時の爽快感はたまりません!
ここで記すべき子ども達の特性は、「どうしても的に当てたい!」という強い気持ちからどんどん的に近づいてきて、鉄砲が的に完全に当たっている状態で発砲する子ども達も普通にいます。
UFOキャッチャー
これもいつも行列ができる大人気のゲームですが、難しいのでどちらかというと小学生でも高学年以上か、大人向けかもしれません。箱の蓋から出ているチェーンを持って箱の中のおたまを操作し、中のカプセルをすくって蓋のくねくね道を通り、くねくね道の最後にある穴にカプセルを入れると箱の外に転がり出てくるしくみになっています。
横壁は透明のアクリル板を貼ってあるので、外から中を見ながらカプセルをすくうのですが、ほとんどの子ども達は壁の上に体重をかけるので、アクリル板は底辺から上辺までの高さで切ると、箱の強度が増し、長持ちします。
大人でも「難しいよー」とすぐ諦めるお客さんもいれば、子どもでもじっと集中して15分ぐらいかけて渾身のゴールを掴み取る子もいます。ダンボールゲームセンターの中では一番性格が露わになるゲームじゃないかと思います。
さて、やっとの思いで取ったカプセルですが、中に何が入っているかというと、点数を書いた紙が入っています。紙に点数を家族で書いていくうちにただ点数を書くだけではつまらなくなってきて、
「じゃんけんに勝ったら50点」
「にらめっこで勝ったら80点」
「早口言葉を言えたら100点」
など、アレンジした内容のものになっていきました。それを作る時間というのが、ダンボールゲームセンターをやっている中で至福の時間となっています。
以上、ダンボールゲームセンターで特に人気のゲームの紹介でした。
他にも、たくさんのゲームが入っては去って行きました。人気のゲームになるには、子どもから大人までが楽しめて、少し難しく、そしてできた時の爽快感が必要みたいです。なので各年代や集中力や各人の得手不得手の個性に合わせたスタッフ側のさじ加減が割と重要なキーになってくるようです。
今後もどんどんみんなが夢中になれるゲームを生み出して行けたら!と思っています!